はじまり

「私は何故ここにいるのだろう」
「この人は何故私と一緒にいるのだろう」

出会って間もない微妙な距離感さえ、
何故か心地よかった。

互いにカメラの向こう側でシャッターを切る。

これが私たち夫婦の始まり。
そして、「妻の肖像」の始まり。

意図して創り上げる作品には、
誰もが頷く説得力がある。

そこには、もっと知りたくなる世界がある。

けれど、こんな始まりもあっていい。

時間とともに変わっていく距離感。
答えの見つからない問い。

それらを抱え続けながら、
少しずつ形になっていく作品があってもいい。

「妻の肖像」は、
そんなふうに始まった。

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